【UE5】レベル上のアクターを確実にリセットする方法 - サブレベルとChildアクターの落とし穴に注意!

query_builder 2025/10/15
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Unreal Engine 5: レベル上のアクターを確実にリセットする方法と落とし穴

Unreal Engine 5: レベル上のアクターを確実にリセットする方法と落とし穴

Unreal Engine 5でゲームを開発している皆さん、こんにちは。

特定のイベント後にレベル上のアクターの状態を初期化したい、あるいはリセットしたいと考えたことはありませんか?特に、ゲームプレイ中に動的に変更されるアクターを、特定の区切りで元の状態に戻したいといったケースはよくあるかと思います。

今回は、レベル上のアクターをリセットする基本的な方法から、意外と見落としがちな「Childアクターのリセットがうまくいかない」という問題の原因と解決策、そしてサブレベルを使用している場合にハマりやすいポイントについてSuperEats Zeroでの開発事例も交えながら解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

アクターのリセット、うまくいっていますか?

まず、レベル上のアクターをリセットする一般的なアプローチとしては、アクターのプロパティを初期値に戻したり、アクターを一度Destroyして再スポーンさせたりする方法が考えられます。

しかし、この方法でアクターをリセットしようとした際に、特に以下のような問題に直面したことはありませんか?

  • 特定のアクター(特にChildアクター)がリセットされない。
  • 見た目はリセットされているように見えるが、内部的な状態が古いままになっている。
  • レベルロード後にリセット処理を実行しても、期待通りに動作しない。

これらの問題は、アクターのライフサイクルやレベルの管理方法が正しくない場合に発生しやすいです。

解決策と確認すべき項目

では、アクターを確実にリセットするためにはどうすれば良いのでしょうか?いくつかの解決策と確認すべき項目を見ていきましょう。

1. アクターの初期状態を正しく把握する

アクターをリセットするということは、そのアクターを「初期状態」に戻すということです。まずは、アクターがレベルに配置された際の本来の初期状態がどのようなものかを正確に把握しておく必要があります。

  • 初期位置・回転・スケール: レベルエディタで配置した際の値。
  • ブループリントのデフォルト値: ブループリントクラスで設定されている変数の初期値。
  • コンポーネントの状態: スタティックメッシュやスケルタルメッシュ、コリジョンなどの初期設定。

これらの初期状態をブループリントで取得し、リセット時に適用するようにしましょう。例えば、BeginPlayイベントで初期状態を保存しておくのが一般的です。

2. アクターの所有関係と階層を考慮する

Childアクターがリセットされない問題の多くは、この「所有関係と階層」の仕様が原因で発生します。

  • ParentアクターがDestroyされた場合: ParentアクターがDestroyされると、そのChildアクターも自動的にDestroyされます。しかし、ParentアクターがDestroyされずにリセット処理だけを行った場合、Childアクターも個別にリセット処理を呼び出す必要があります。
  • Parentアクターからの制御: ChildアクターのプロパティがParentアクターによって制御されている場合(例:ParentアクターがChildアクターの位置を常に更新している)、Childアクター単独でのリセット処理だけでは意味がないことがあります。この場合、Parentアクターのリセット処理の中で、Childアクターのリセットも考慮に入れる必要があります。

解決策:

Parentアクターのブループリントにリセット用のイベント(例:ResetStateカスタムイベント)を作成し、そのイベントの中で自身のリセット処理と、所有しているChildアクター全てに対して同じResetStateイベントを呼び出すように実装します。

3. アクターの再スポーンを検討する

もしアクターの状態が非常に複雑で、個々のプロパティをリセットするのが困難な場合は、一度アクターをDestroyして、新しいインスタンスをスポーンし直すという方法も有効です。

この方法は確実性が高い反面、Destroyとスポーンのオーバーヘッドが発生するため、パフォーマンスに影響がないか注意が必要です。

4. レベルのリロードやStream Out/Inを活用する

ゲーム全体の進行と連動してアクターをリセットしたい場合は、レベル全体をリロードしたり、サブレベルのストリーミングを活用したりする方法もあります。

  • レベルのリロード: UGameplayStatics::OpenLevel(GetWorld(), FName(*GetWorld()->GetName()), true); を使用すると、現在のレベルを完全にリロードできます。これにより、レベル内のすべてのアクターが初期状態に戻ります。ただし、これはゲームの進行状況も失われるため、全体の区切りでの再スタートなどに限定されるでしょう。
  • サブレベルのStream Unload/Load: これが筆者が特に苦戦したポイントです! 複数のサブレベルを使ってゲームを構築している場合、特定のサブレベルだけをリセットしたい場合があります。その際、サブレベルをUnloadしてから再度Loadすることで、そのサブレベル内のアクターを初期状態に戻すことができます。


筆者の実体験:「All Ways Loaded」サブレベルでの苦戦、そしてChildアクターの罠

ここで、筆者が実際にハマったケースをご紹介します。

私は、プレイヤーが自由に破壊活動を行える「街」のレベルを開発していました。この街は複数のサブレベルで構成されており、特にプレイヤーが破壊できるオブジェクト(大量の物理演算アクターや複雑なギミックアクター)は、パフォーマンスのために特定のサブレベルに集約されていました。プレイヤーが一定時間破壊活動を行った後や、特定のイベントが終了した際に、この破壊された街の状況を能動的に「初期状態」にリセットしたいと考えていました。

リセット処理の実装中、一部の物理演算アクターや、Parent-Child関係にあるアクターのリセットがうまくいかないことに頻繁に直面しました。

特に問題だったのが、サブレベルの「Streaming Method」が「All Ways Loaded」に設定されていたことです。

「All Ways Loaded」に設定されているサブレベルは、メインレベルがロードされると常にロードされ、そのアクターのライフサイクルは親レベルのアクターに強く依存します。この設定下では、Unload Stream LevelLoad Stream Levelノードを呼び出しても、サブレベル内のアクターが完全にメモリから解放されず、その状態が保持されたままになるケースが多々ありました。特に、ChildActorComponentがスポーンしたアクターの場合、たとえParentアクター(メインレベルや他のストリーミングレベルに存在するアクター)が保持されていると、ChildActorComponent自体はDestroyされず、その内部で生成されたアクターもリセットされない、あるいは意図しない状態のまま残ってしまうという問題が発生しました。例えば、破壊活動によってバラバラになったChildActorComponentが生成したアクターが、リセット後もその場に残り続けるといった挙動です。

これは、ChildActorComponentがその内部でアクターをスポーン・管理しており、親となるアクターがメモリ上に存在し続ける限り、ChildActorComponentも存在し続け、その管理下にあるアクターも完全にリセットされないためです。単にストリーミングレベルをUnload/Loadしただけでは、Parentアクターに紐づくChildActorComponentの内部状態までは初期化されなかったのです。

さらに苦戦したのは、Child ActorとChild Actor Componentの違いによって引き起こされる意図しない挙動です。

  • Child Actor (FChildActorAttachedActor): これは、ブループリント内で別のブループリントをChildアクターとして追加する機能です。この場合、Childアクターは独立したアクターとして扱われますが、Parentアクターに「Attach」されている状態になります。ParentアクターがDestroyされればChildアクターもDestroyされますが、Parentアクターがリセットされるだけでは、Childアクターも個別にリセット処理を呼び出す必要があります。
  • Child Actor Component (UChildActorComponent): これは、ブループリントに「Child Actor Component」というコンポーネントを追加し、そのコンポーネントにアクタークラスを設定してスポーンさせるものです。このケースでは、ChildアクターはChild Actor Componentの内部でスポーンされ、ParentアクターのLifecycleに強く依存します。ParentアクターをDestroyせずに単にリセットしようとした場合、Child Actor Componentによってスポーンされたアクターは、Parentアクターが持っている変数やロジックから独立して動作しているため、Parent側のリセット処理だけではChildアクターの状態が完全に初期化されないことがありました。特に、All Ways Loadedのサブレベルと組み合わせた際に、Parentアクターが存続しているとChild Actor Componentが生成したアクターも存続し、その位置や物理状態がリセットされないという問題が顕著になりました。

解決策:

結局のところ、サブレベル内のアクター、特にChildActorComponentが生成したアクターを含む複雑なシーンを確実に初期状態に戻し、完全にリセットしたい場合は、そのサブレベルの「Streaming Method」を「Blueprint」などの動的に制御できるタイプに変更し、親となるレベルから明示的にUnload Stream LevelLoad Stream Levelノード(またはC++の同等機能)を使用してストリーミング制御を行う必要がありました。

まとめ

レベル上のアクターをリセットする方法はいくつかありますが、状況に応じて最適なアプローチを選択することが重要です。

  • アクター個別のリセット: シンプルな状態のアクターや少数のアクターに適しています。
  • Parent-Child関係の考慮: 階層構造を持つアクターの場合、ParentからChildへのリセット伝播を実装します。
  • アクターの再スポーン: 複雑な状態のアクターや確実なリセットが必要な場合に有効ですが、パフォーマンスに注意。
  • レベルのリロード: ゲーム全体の初期化に最適。
  • サブレベルのストリーミング制御: 特定のエリアのアクターを初期化したい場合に非常に強力ですが、「All Ways Loaded」設定と、Childアクター/コンポーネントの挙動に注意が必要です!

皆さんのUE5開発において、この記事がアクターのリセット問題解決の一助となれば幸いです。快適なゲーム開発を応援しています!

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